2013年 5月 乗鞍岳

GW真っ只中、渋滞や人ごみに巻き込まれるのかなぁと、ちょっと不安もありましたが乗鞍まで行ってきました。

ところが、カレンダー上は平日の5/1,2、なんとも拍子抜けするくらいに人も車も少なくて、快適にドライブ、山行を楽しむことが出来ました。


2013/5/1

渋滞を避けるために夜の出発、20:30くらいに自宅を車で出ましたが、この時間には全く渋滞は無く、24:00くらいに三本滝駐車場に到着。

ドライブ中は雨の場所も有ったのですが、乗鞍は満天の星。雲ひとつありません。星が空を埋め尽くしていました。

車の中で缶ビールでも飲んで、シュラフに入りました。


2013/5/2

4時過ぎに起床。自宅で沸かしてきたお湯でスープを作って、おにぎりとパンの朝食。

朝日が出ると廻りも一気に明るくなります。


三本滝 駐車場



三本滝 スキー場

レキのストックの調子が悪く、長さ調節がちゃんと止まってくれません。何階廻しても空回り状態でしまる気配がなく、困りました。一旦抜き出して、ギリギリの状態で戻し、下の段は何とか止めましたが、上の段は甘いまま。しょうがないのでこれで騙し騙し使う事としました。

5:30頃に駐車場を出発、アイゼンとストックでスキー場を登り始めました。

先行者が一人左側の方に行っていたので釣られて(^_^;;左側方向に登りましたが、正解は右側、リフト下辺りが道路から雪面への段差が小さく、登りやすくなっています。2回横切っていますが2回ともリフト下が良いようです。

私はピッケル出して少し崩された3m位の段差をアイスクライミング見たいに登っちゃいましたが朝の凍った雪で無いと多分ピックの効きが悪く登れなかったでしょう。

雪の段差を崩してある場所が年ごとに異なるようですので、一概には言えませんが、リフト下は段差が無く上り下りしやすく成っています。


ゲレンデを横切る道路と雪面の段差

ゲレンデ最上部まで出ると、後は横切る道路は無く雪面の登りです。

朝はアイゼンの効く快適な硬い雪でした。


ゲレンデ上部

長袖の山シャツの上に、薄いウールの服を着た状態で歩き出したのですが、この時期、普段なら直ぐに暑くて脱いでしまうのに今日は丁度良い位です。登っているのに汗をかくこともありません。

逆に風が出てきて、ゴアの上着を着込んだくらいでした。


ツアーコースから乗鞍岳が見え始める

この頃は雲ひとつありません。





淡々とツアーコースを歩いて登りました。

上部に行くにつれ、風が更に強くなりました。

位ヶ原 手前の林を抜ける前に、上部は更に風が強い事が予測できたのでゴアのズボンも穿き、目出帽をかぶり、手袋も冬用のごついものに取り替えて準備万端 大雪渓の下へ登っていきました。

風はますます強くなり10m/sくらいはあったと思います。

晴天の中の地吹雪状態です。

細かな雪が飛ばされて斜面を舞い降りてきます。

ふと、風の方向によって荷物がバタバタと変な音を立てていることに気が付きました。

一面の雪原の中、さえぎる物の無い吹っさらしの状態なので、のんびりと休む気にもなりません。

しばらく無視して歩き続けていたのですがどうも気になるので荷物を降ろしてみました。

な、なんと!!。

スキーの滑走面がめくれて剥げてしまっているではないですか!!

せっかくここまで担ぎ上げてきたのに、壊れてしまったスキー。

写真では快晴のポカポカした状態の様に見えますが、10m/sの強風の中です。

ザックの上に置いたゴツイ手袋も風で落ちるほどでした。

素手でカメラを操作していると直ぐに冷たく成ってしまいます。


倒されそうなくらいに強い、冷たい風の中を、ただただひたすら登ります。

ずっと向かい風なので余計に疲れます。

でも、快晴!!装備は万全なので、大きな危険はありません。

素手を長く風にさらさないように注意するくらいです。


(Video)

大雪渓の下の小屋を過ぎて、肩の小屋への登りくらいから上部には薄い雲が掛かりはじめてきました。


諦めようかと思うほどの強風の中、やっと肩の小屋まで到着。

風を避ける場所が無いかと探し回ってみたのですが有りませんでした。

風は強い時には20m/sくらい有るのではないかと思うくらいの倒されそうな風でした。

小屋の周り全面 ふきっさらし 状態です。

ツェルトでもかぶろうかとも思いましたが、ツェルトごと吹き飛ばされそうな勢いなので諦めました。


この頃には山頂から肩の小屋付近まで雲の中に入り始めてきました。

ちょっと濃い雲に包まれるとホワイトアウト状態です。

厚みの薄い雲だと明るいので、廻り全体が白い光の中に包まれてしまいます。

これはちょっと怖い状態です。


この後、山頂方面はだんだん雲の中に入っていきました。


雲に包まれてしまうまでは一瞬の間です。

濃い雲に包まれると周りが何も見えなくなります。

足元も雪で真っ白なので、地面と雲の境目さえも分らなくなります。

方向が分らなくなったり、斜面の状態が見えなくなったりすると雲が薄くなるのを待つしかありません。

こんな時には見えているうちに、安全な場所までさっさと降りてしまいます。


(Video)

途中で壊れたスキーをちょっと試してみたのですが、底の剥がれたスキーだと剥がれた滑走面の分(1-2mm)、エッジの金属が飛び出ていて、両方が雪に噛むのでスキーが横に滑りません。

ターンが出来ない状態と成り、使い物になりませんでした。

結局、、、重石になっただけでした。

ツアーコースまで降りると風も弱まり、ポカポカ陽気の最高の春山です。

まだ早いので、のんびりと下ります。

雪も腐ってきて、急な斜面でも踵から蹴り込むように降りると快適に降れます。

ちょっと急な斜面でシリセードで滑ってみましたがザックにつけたスキーが邪魔で直ぐに止まってしまいました。








山頂とツアーコース、天国と地獄の差がありますが、こうして見ると、のどかな春山の景色です。

こんな景色の中にも厳しい自然が隠れている事など、自分で実際に経験した事のない方は思いもしないでしょう。





13:00位に駐車場に戻ってきました。

快晴の中、スキーやアイゼン等の濡れ物を広げて乾かし、着替え。

いつもの国民休暇村の露天風呂を楽しみ、帰宅の途につきました。

乗鞍は人も少なく本当にGWなの?と言う感じでした。