組込システム

組込システムの動向についての個人的な意見を書いて置きます。

組込システムと呼ぶ対象範囲は特に制限無しで、極小からプラント規模までの 全般的な傾向として考えています。

独断と偏見の動向予想

機能分化の方向性
  • ネットワークが一般化かつ高速化した事から、高速な演算や大規模なストレージを 要するものはネットワークの先の高機能マシンに置くようになる。
  • これらは、ますますパソコン(WindowsやLinuxマシン)化、汎用品化されていく。
  • 汎用品で満たされない、特殊な機能や制限事項はハードウェアアクセラレータ化や 拡張ライブラリ等のソフトウェアでカバーされる。
  • また、クラウドに置かれる機能も増加する。
  • センサーやアクチエーターを束ねる小型のリモートコントローラ的なものが ネットワークに繋がれて実際の計測や制御を実行する。
  • センサーやアクチエーターが直接ネット経由でコントロールされることも増加する。
  • ネットワークは有線、無線が混在する環境となり、省電力化された無線での接続が増える。
  • LSIの高密度化、低価格化によりアクセラレータ機能をLSI化して利用することが一般化し、 非リアルタイムOSでもリアルタイム部分をアクセラレータに任せることで対応可能となる 部分が増える。 これにより、android(Linux)上のJava等でもリアルタイムシステムの構築が可能となる 範囲が拡大する。
  • ネットワークが標準と成る事により、ユーザーインターフェイス系はWeb系にシフトしていく。 また、スマートフォンやタブレット等を端末として利用し、 実機には簡素なユーザーインターフェイスしか持たせないものも増加する。
  • Web化されたユーザーインターフェイスはHTML5+CSS3+JavaScriptの発展により 統一化されやすくなる。ユーザーインターフェイスにはブラウザだけが有れば良くなり、 キャッシュされたページでローカルに動作できる様になる。 プログラムの更新はWebからのダウンロードで動的に可能となる。
  • 署名、認証、改竄検出、アクセス権、等のセキュリティ機能を ネットワーク上の関連モジュール間で有効に連係出来る事は必須となってくる。 組込システムには関係無いとは言えなくなる。
リアルタイムOS
  • 人と直接関係するロボット等の分野では機能安全等の付加価値部分が重要と成る。
  • 今後分散OS化の波が来るかもしれない。 リアルタイムOSとしての分散OS化で重要なのは時刻同期系の機能ではないかと思う。
  • OpenSourceのリアルタイムOSがそれなりに充実してきている。 商売としてのリアルタイムOSは単独ではますます成り立たなくなっていく。 システムとしてドライバーやミドルも含めたサポートがあるものが生き延びていく。
  • 汎用プラットホームとして、androidの動きは色々と世界を変えるかも知れない。 androidで有り続けるかは分らないが標準プラットホームマシンの争いは重要だと思う。
開発環境
  • 組込システム開発においてもスクリプト言語系の活用は進む。 また、ターゲットにも利用される様になって行く。
  • 組込システム開発において、 DSL(Domain Specific Language)化はひとつの有効な方向性だと思われる。
  • GUI開発ツールで図式化された物はレビジョン間の変化を管理し難い。 DSL化されたものやXML化されたものは汎用の版管理システムで管理することが出来る。 ViewとしてのGUIは大切だが、ソースは文字ベースの方が管理しやすい。
  • シミュレータや仮装マシン環境は手軽に使えるようになり、ますます重要に成る。
  • 仮装マシンPC上でデバイスシミュレータを動かすような、 多重仮装マシンの利用も浸透してくる。
  • トレーサビリティの確保の為にもgit, subversion等の版管理の重要性がますます大きくなる。
  • 要求仕様書→受入検査仕様書、 機能仕様書→システム検査仕様書、 詳細仕様書→モジュール検査仕様書、等  階層間と階層毎に対応が漏れなく満たされている事を管理する文書やツール類の 重要性が高くなって行く。 これらの文書やツールにはバージョンやレビジョン、開発ステップ等の概念も重要と成る。
  • 製品の各種「脆弱性の検査ツール」類の重要性も大きくなって行く。
ネットワーク
  • ネットワークでのデータ交換がますます重要と成るので、 組込み系用のXMLの定義の統一が重要に成ると思う。
  • 無線系の技術の取り込みは必須と成ってきている。 中距離、近距離、近接、等々の使い分けが大切に成る。
セキュリティ
  • セキュリティは益々面倒な事が増えていくと思われる。 相反する要求のトレードオフポイントがなかなか決めにくい時代に成ってしまったので 社会情勢に左右されトレードオフポイントが大きく揺れると思う。
情報管理と顧客対応
  • 組込システムとは無縁そうに思われるかもしれないが、 諸刃の刃であるBlog,SNS,twitter,etc.で、一瞬のうちに情報は世界を駆け巡る。 これらのメディアによる風評被害や情報漏洩等の対策は欠かせないものと成ってきている。

お手本は自然界に存在する

複雑化するシステムのお手本は自然界に既に存在する仕組みの中に有ると思う。

動的な分散システムをいかにシンプルに作るのか?、 等の答えはアリやハチの生態の中にも有るのかも知れない。